紫外線殺菌には(i)DNA(RNA)の破壊、および(ii)活性酸素によるウイルスや細菌の死滅、の2つのメカニズムが存在する。2つの効果が共存する場合、紫外線強度が強いと、弱い場合と⽐較して(ii)の効果が薄れるため、殺菌効率が低くなります。
紫外線照射によりウイルスや細菌内で活性酸素が⽣成され、この活性酸素がウイルスや細菌のDNAや脂質層を破壊して殺菌するものと考えられます。この活性酸素は不安定で、活性酸素同⼠が出会うとすぐに活性の無い酸素に変化してしまいます。このような理由により、強い強度の紫外線をウイルスや細菌に照射すると⼤量に活性酸素が⽣成されますが、活性酸素同⼠が結合して活性が無くなる為、紫外線の殺菌効果が薄れてしまうことになります。
図3
照射線量が⼀定の条件下で、紫外線照射強度を⼤きく変えて⼤腸菌の殺菌率を精密に評価してみると、図3に⽰すように、紫外線強度が弱くて⻑時間殺菌した場合のほうが、紫外線強度が強くて短時間殺菌した場合よりも、殺菌効率が⼤きいことが判明しました。図3は、紫外線強度10mW/cm2で1sの場合90%の殺菌率(⼤腸菌数が紫外線照射によって6000個から550個に減少)であったのが、0.1mW/cm2で100sの場合99%の殺菌率(⼤腸菌数が紫外線照射によって6000個から60個に減少)になる結果を⽰しています。
【⽤語解説】
※1.照射線量:紫外線殺菌においては、照射強度(mW/cm2)×照射時間(s)で定義される量。
参考文献
1)名古屋市⽴⼤学:紫外線殺菌の基本原理において従来の定説を覆す効果を世界で初めて発⾒︕より安全な紫外線殺菌技術の実現へ